活動報告

第9期がんライフアドバイザー養成講座

2022年5月15日(日)、待ちに待った第9期がんライフアドバイザー養成講座が開講しました。

1日目

北は北海道、南は沖縄まで、8道府県から受講者が集まった第1日目は、オリエンテーションから始まり、『概論』と『がんと生活設計』を学ぶ7時間。
講師は、一般社団法人がんライフアドバイザー協会 代表理事の川崎が担当しました。
『がんと生活設計』は、医療・介護現場におけるファイナンシャルプランニングの考え方や、かかる医療費の見込みを考える上で必須な知識となる高額療養費制度などを相談事例をもとにお伝えしました。
医療費控除については、税理士の飛多朋子先生をゲストティーチャーにお招きして、税金のしくみから教わり、実務の視点からのアドバイスをいただきました。
目から鱗の内容も多かったのではないでしょうか。
早速、3〜4人のグループでの事例検討も行いました。
受講者の皆さんは、がん診療連携拠点病院の看護師、社会福祉士、訪問看護師、作業療法士など、それぞれの立場から意見を出してくださり、第1日目から気づきの多く深いディスカッションとなりました。

2日目

先月より月に1度、全5回で開催の第9期がんライフアドバイザー養成講座。
6月12日(日)の学びは『がんと保険』と『相続と贈与』でした。
『がんと保険』の講師は代表理事の川崎が務めました。
まずは、患者さんが加入している民間保険が理解できるように、保険の基礎知識から。
保障の内容が読み取れるよう、ご自身が加入されている保険証券を手元に置いて、民間保険の基本から保険の活用法をお伝えしました。
医療・介護現場で最も相談が多い給付金請求に関しては、アクチュアリー正会員の野口俊哉氏をゲストティーチャーにお迎えして、保険会社側の想いも学びながら、私たちができる支援を教わりました。
公的制度だけの対応ではなく、民間保険まで支援できる知識やノウハウを専門家から学んで身につけることは、がんライフアドバイザーの強みだとも思います。
『相続と贈与』の講師は生活経済ジャーナリストで大腸がんサバイバーのいちのせかつみ氏。
医療・介護従事者が、後見制度以外の相続や贈与の知識を専門家から直接学ぶ機会は、あまりないのではないでしょうか。
相続の法律だけでなく、遺言書の書き方や、相続にまつわるお金の考え方についても講義をしていただきました。
事実婚や内縁関係の方が増えている今、どのタイミングでどのような支援ができると良いのかを、改めて考えさせられる機会にもなりました。

3日目

北は長野、南は沖縄から受講くださっている第9期も中盤に差し掛かりました。
3日目は、今後の自己学習や患者さん支援にも使える資料として、スライドだけで約500枚。
午前は『社会保障』。
講師は、高額療養費、傷病手当金、老齢・障害・遺族年金、失業手当を私が務め、介護保険と在宅医療をセントケア和歌山の久喜泰子氏にお願いしました。
単に制度を解説するだけではなく、これまでに出会った患者さんの事例や、医療現場にいるから分かる制度の活用法や落とし穴は、参考書やweb記事では載っていない情報だと思います。
患者さんの社会的側面の支援の肝となる社会保障は、4日目の就労支援や5日目の症例と処方箋でも触れ、復習をしていく予定です。
午後は『がん医療』。
講師は公立那賀病院 臨床腫瘍科の上田弘樹先生。
がんの基礎から、それぞれのがんの最新治療だけでなく、免疫チェックポイント阻害剤の動向や、がんゲノム医療の今後など、これからのがん医療の着目ポイントも教わりました。
臨床現場にいらっしゃる先生から、こんな風にがん医療を網羅的に学べるこの機会は、本当に貴重で恵まれた講座だと思うとともに、ポイントを押さえて3時間でお話しくださる上田先生の講義は神業だと、つくづく感じます。
上田先生、久喜さん、ありがとうございました。
受講者の皆さん、お疲れさまでした。

4日目

午前は『がんと生活設計』。
ご相談をお受けしていると、カードローンやリボルビング払いなど高い金利で借金し、毎月返済しなければいけないお金がある方もいらっしゃいます。
そこで今回はローンについて学ぶ3時間。
住宅ローンについてもしっかりと。
がん経験者でも加入できるがん団信など、多様化している団体信用生命保険については代表 川崎がお話しました。
一番相談例が多い住宅ローンの返済が困難になった時の対応策については、ゲストティーチャーとして金融機関に勤務されている白土浩三氏をお招きし、しっかり教わりました。
金融機関への相談方法は具体的で、即、患者さんにお伝えできる内容でした。
午後は『就労支援』。
講師は人事として企業側のご経験もあり、医療機関で相談業務もされている社会保険労務士の染谷由美氏。
就労支援にあたり知っておきたい労働契約や休暇・休職、退職・解雇・雇止め、制度、コミュニケーションを、事例を交えることで分かりやすくご講義くださいました。
また、正社員、派遣社員、パートタイマー、自営業など、様々な雇用形態に合わせた事例を、個人で考えたり、グループで検討し、発表後に、染谷氏から多くのアドバイスをいただきました。
インプットとアウトプットで、かなり深く学べた満足感からか、最後に撮った記念撮影の皆さんの笑顔は弾けているように思います。
この日の午前中、第5期まで就労支援の講師を務めてくださっていた藤田久子氏の告別式が執り行われました。
藤田さんは、ご自身の経験も踏まえながら、いつも笑顔でご講義くださり、私たちに大切な心得やスキルをお教えくださいました。
藤田さんのご冥福をお祈り申し上げます。

最終日

5日間のがんライフアドバイザーⓇ養成講座は、2022年9月11日に最終日を迎え、今期は15名の方にがんライフアドバイザーⓇの認定をさせていただき、無事に終了しました。
最終日は、これまで4日間の講義で学んだ知識やノウハウを活かして、会社員や自営業者など就労中の事例、退職間際の事例、退職後にがんと診断された事例、年金生活者の事例などの事例検討と総合確認テスト、そして修了式。
今期は、総合確認テストの平均点が過去最高で、複数の満点者も出ました。
オンラインでの受講でも、しっかり学んでいただけると改めて感じる一方で、最終日に会場にいらしてくださった方と、直接お会いして話が出来たことで、個々で求めておられた学びが分かり、それに答えられた喜びが絶大であるのも事実です。
また今期は、現講師と前講師が、がんで逝去されるという辛くて悔しくて悲しいこともありました。
でもその分、他の講師の先生方から、この講座への想い、人と人との繋がりや温かい心を感じ、皆さんに作ってきてもらった養成講座だと実感できました。
感謝の気持ちでいっぱいです。
次期の詳細はまだ決まっておりませんが、今後もオンラインでの開催を継続することになると思います。
ご案内を希望される方は、ホームページよりお問い合わせください。(こちらの講座は医療従事者、介護従事者対象です)。
https://ganlife-adviser.org/school
受講者の皆さん、講師の先生方、本当にありがとうございました。
お疲れさまでした。

医療者・介護者の方へ。がんライフアドバイザーは医療従事者対象の資格です。
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